宇宙飛行士

宇宙航空研究開発機構JAXA)の油井亀美也(きみや)・宇宙飛行士(45)が乗るロシアの宇宙船が日本時間の23日午前6時2分、カザフスタンのバイ コヌール宇宙基地から国際宇宙ステーション(ISS)に向けて打ち上げられ、約5カ月間の長期滞在に挑む。日本人の宇宙飛行は通算10人目で、歴代最年長 の39歳で飛行士候補に選抜された「中年の星」だ。初の自衛隊出身でもあり、「ISSは国際協力の象徴。日本の平和にも貢献していることを多くの人に伝え たい」と、意欲を見せている。油井さんの故郷は、星空で名高い長野県川上村だ。父の※司(すけじ)さん(78)によると、幼少期は家業のレタス栽培を毎日手伝う親孝行な子だっ た。宇宙に関心を持ち始めたのは小学校3年の時。実家には愛用した望遠鏡が大切に残されている。「急に望遠鏡が欲しいとせがまれて。新しい星を見つけたら 自分の名前が付くんだと言って、ずっと探していましたね」と振り返る。(※は言へんに甫)

 宇宙飛行士を夢見て、小学校の卒業文集には「火星に行く」と書いた。だが、家計を心配し、自ら学費の不要な防衛大に進学。航空自衛隊に入隊後は厳 しい訓練を経て、F15戦闘機の編隊長や高い技術が求められる軍用機のテストパイロットを歴任。航空幕僚監部で米軍との調整も担当した。夢を諦めかけていたが、戦闘機のパイロットが宇宙を目指す米映画「ライトスタッフ」をビデオ店で借りて見て一念発起した。2009年に国内で10年ぶりに実施された飛行士候補の選抜試験で競争率500倍の難関を突破し、国内外で訓練を続けてきた。