野球賭博

一度は解決したはずだった巨人投手による野球賭博問題が、シーズン開幕を約2週間後に控えた最悪の時期に再び広がりを見せた。巨人が8日に発表した高木京介投手(26)の野球賭博関与の疑い。記者会見で「他に関わっている選手はいないと断言できるか」との問いに、森田清司総務本部長は「調査が難航している。簡単ではないのが実態」と返すのが精いっぱいだった。久保博球団社長は記者会見で「昨年10月から11月にかけての調査が十分に及ばなかった」と悔やんだが、強制力を持たない球団や日本野球機構(NPB)による調査の難しさは、当初から指摘されていた。昨年11月、NPB調査委員会の大鶴基成弁護士は調査の際に、この問題に関与した飲食店経営の男性の協力を得られていないことを明かし、「『捜査』と違い『調査』は相手が任意で応じなければ対応できない」と述べている。
今回の問題でも球団は、重要な証拠を握っていると見られる笠原将生元選手に協力を拒否され、飲食店経営の男性には電話にすら出てもらえていない。高木京も、週刊文春の取材を発端に3月に入ってから行われた球団の事情聴取に、当初はうそを述べていた。親族らの勧めもあって8日朝になって真実を告白したが、最後に「良心」が動かなければ発覚しなかったかもしれない。
高木京は球団の調べに対し、昨年の問題発覚後も飲食店経営男性から度々電話を受けていたことを明かし、「10月からびくびくしていた。でも(男性から)電話がかかってくるのが怖いので断れなかった」と話しているという。「恐れを断ち切って勇気を持って本当のことを言ってくれと(選手に)訴えるしかない」と森田本部長。だが、「保身」の2文字が頭にちらつく中で正直に名乗り出るのが難しいことは、容易に想像がつく。